山梨県立美術館 『みんなの風見鳥をつくろう!』
2009年 10月3日
山梨県立美術館 (山梨)
昔人の自然へ向けられた視点
山梨県立美術館の秋の特別企画で行われた『自分の風見鳥をつくろう!』では、たくさんの子供たちが参加して、オリジナルのかわいい風見鳥を制作。制作後は夏休み中美術館内の庭園に設置され、夏の風に吹かれる色とりどりの風見鳥を鑑賞することができた。
ワークショップの初めは風見鳥についてお話。どうして、木村さんが風見鳥を沢山つくって並べる作品を思いついたのか?を説明する。
最初に風見鳥に着目したのは、お散歩中に恐ろしい数のカモメたちが同じ方向を向いて海に浮かんでいるのを見た時だった。
その時、昔の人は、きっと風を向いて座る鳥の性質をよく観察していて、風を見る道具をつくったときに鳥の形をかたどって作ったのではないか・・・と、木村さんの頭の中に『風見鳥』というモノと実際の鳥の性質が一致した不思議な感覚がしたのだという。
それから気をつけてみると、どの鳥も風がある日は必ずといって良いほど風の吹く方向を向いてとまっている。気が付いたときに取り続けていた鳥達の写真を子供たちと一緒に見ながら、昔の人の自然への視点について話してもらった。
目に見えない風の姿を見る
その後、早速制作開始!!
この風見鳥のタイプは、早川町の電線に止まっているツバメをみて制作された『ツバメの風見鳥』を改良したもの。
あらかじめ木村さんが用意してくれた鳥のアウトラインに色を塗ったり紙を貼ったりして、思い思いの風見鳥に色をつける。その後、ボランティアの方々に指導頂き、支軸などを取り付けて完成。
作業自体はそれほど大変ではなく、大人が一緒に手伝えば保育園児の子供たちでもかわいらしい風見鳥を作ることができる。特別参加した大人も、紙をコラージュするなど工夫を凝らしておしゃれな風見鳥を作った。
出来上がった風見鳥は美術館の庭に張り巡らしたロープに設置。
沢山の風見鳥を設置すると、設置した位置によって風見鳥たちはそれぞれ微妙な角度を向く。それを離れて観察してみると、風がどうやって吹いてきているかを見ることができる。
普段は目に見ることができない風の姿が、風見鳥の向く角度によって見ることができる仕組みになっている。
風見鳥を群生させるのは、その風の形を見るためだ。
夏のさわやかな風が吹くと、一斉に軽快なリズムで方向を変える風見鳥にの姿を見ることができるインスタレーション展示になった。