木村崇人展 ~木もれ陽プロジェクト~
2007年 5月28日 ~ 6月3日
フタバ画廊 (東京/銀座)
木もれ陽プロジェクトをホワイトキューブで個展として発表するのは実に5年ぶり。
当時はまだ木もれ陽プロジェクトは、実験的な作品を発表しており、壮大な野外計画はデッサン上で楽しむ作品だった。
5年かけてスケールが大きくなった木もれ陽プロジェクトが、久しぶりにホワイトキューブでの発表となると、いささかこじんまり見えるという心配があったが、
ホワイトキューブならではの美しい空間に足を踏み入れた観客は、その幻想的な現象に目を奪われていた。
これまで、光源を回転させて、星型のこもれびを回転させてきたことはあったが、今回は、光源を当てる素材に光を当てた。
光源を当てる素材は、二段の葉棚。それぞれが独立して回転するように創られており、ギャラリーの空調から出る風を利用して、不規則に回転する。
モーターではなく、空調の風を利用するところが、『地球と遊ぶ』木村ならではの発想ではないだろうか。
葉棚が回転すると、床に映し出される葉の影も回転する。回転する葉の影の中に、星のこもれびが現れては消える。
重なり合ったり、単独で現れたり。葉の隙間の組み合わせは無限。
この無限の組み合わせによって現れる星は、やはり無限なパターンで現れる。
回転しながら、現れたり消えたりする星のこもれびは、どこか星の万華鏡のようにも見える。
星が映し出されている床の四角と三角のオブジェ。これは、バックミンスター・フラーが考え出した地球の展開図。
これは、展開図の中心付近を、赤道が通っているタイプの展開図を使用している。
地球の展開図に、、星のこもれびを映し出した意図。
これから、木もれ陽プロジェクトを、世界規模で展開していく準備がある、木村のメッセージの表れである。
これは、サイアノタイプといわれる日光写真である。
越後妻有アートトリエンナーレで、多くの人が、星を捕まえるのに使用した『星とり網』を持って、木村の現在本拠地である南アルプスの林の中を歩き、太陽のこもれびを採集。
その様子を撮影した写真を、サイアノタイプで焼いた。
中心に置かれているのは、太陽の航空写真。
世界中で見ることができる、太陽の円いこもれびを採集する『サイアノタイプシリーズ』。
日常の中に『地球と遊ぶ』視点を探している断片を、この作品から見ることができるのではないだろうか。
そして、いつか人類が宇宙で暮らす日が来た時、星型の人工太陽によって、星のこもれびを採集している様子が、サイアノタイプシリーズで発表できるかもしれない。